
会長 豊城 勇一(とよき ゆういち)
一般社団法人板橋産業連合会は、80年余りに渡り、板橋区内の製造業を中心とした企業経営者の皆様が集う団体として歩んできました。
太平洋戦争後の混乱が続く昭和21年3月に板橋産業協議会として産声を上げた当会は、その後、昭和25年8月に、板橋産業納税協力会及び労働基準法推進会と業務・事業が一本化され、「板橋産業連合」が設立されました。昭和29年7月には、「板橋産業連合会」に改称され、平成25年4月、法改正に伴い、一般社団法人に移行されました。令和6年3月、新「板橋産連会館」が竣工し、現在に至っています。
発足当時は、戦禍で失われた事業環境の再構築や新たな労働法制等への対応など、否応なく押し寄せる時代の荒波の中で、孤軍奮闘する経営者らが集い、限られた情報を共有し、経営の一助にしていくという激動の時代ならではの価値観を強みに、地域産業団体として一定の役割を果たしてきました。
時代は変わり、情報技術などの飛躍的な発展により「古き良き時代」の産業人の付き合い方にも変化が見られるようになりました。ネットやメールさえあれば「地域交流の効用は感じない」と考える新しい経営者も増えています。こうした状況は産業界だけにとどまらず、すべての団体・グループに共通する傾向かもしれません。
日本で、全企業の99.7%を占めるとされる中小企業は、経営者の高齢化や後継者不足により、数年を待たずに大廃業時代を迎えるのではないかと言われています。日本のものづくりの屋台骨を支えてきた中小企業が減少し続けることは、国際競争力の点から見ても大きなマイナスであり、危機感をもって乗り越えなければならない問題です。さらに労働人口の減少も現実化し、「働き方改革」に適応しながら競争力を維持し、こうした様々な課題を克服していくためには、技術革新による生産性の向上や新産業への展開などを同時に進める必要があり、現代の経営者には極めて難しい舵取りが求められています。
こうした変革期にあって、人材確保に多くのコストをかけることができない企業では、日常の相談相手が存在せず、自社の問題点を把握することさえも困難になっているとされ、中小企業や小規模企業の経営者の“孤独”な姿が浮き彫りにされています。令和8年度の中小企業白書では、中小企業の稼ぐ力が重要であり、そのためには、労働生産性を上げるとともに、企業間の連携によって、相互に補完し合うことが有効な取り組みであるとしています。
東京23区内で唯一、内陸部に工業専用地域を持つ板橋区には、明治期から続く老舗ものづくり企業から、交通の利便性などを頼りに近年移転してきた新進企業まで、様々な業種・業態の事業所が集積しています。そうした環境の中で、事業所の規模や業種にとらわれない、“全方位”の産業人の有機的な“連携”を最大の武器(特徴)とする当会ならではの強みを生かしながら、引き続き会員企業の経営の安定と発展をめざしてまいります。
